フェリーチェマム(キク)
学名

科名
属名
原産地
開花期

性状


Dendranthema ×grandiflorum (Chrysanthemum ×morifolium)
キク科
デンドゥランテマ属
園芸品種
自然開花では10月〜11月
ハウス内で開花調節可能
多年草(宿根草)
当園では現在これらの植物を栽培しておりません。

フェリーチェマムとは


一言で言えば、1)スプレーギク(菊)の鉢植えの事です、キクはその種類や品種・仕立て方などで、大変多く分類する事が出来ますが、主に中輪〜小輪系で鉢花として鑑賞価値のある品種のキクを従来の系統・分類の枠組みにとらわれることなく選抜し、それを「フェリーチェマム」という商品名でシリーズ化し、生産・流通させています。ですから、優れた品種であれば海外から導入された品種もあったり、切花ですでに人気のある品種であったり、変化に飛んだ選抜品種群です。 どこで生まれたの?
広島県にある「精興園」と言うキクの育種で有名な会社の品種を主に用いて、「当園」「豊明花き株式会社」・「豊明アグリ」が共同で鉢物に向くキクの品種を試作・選抜・販売を毎年繰り返しながら、今までにないバリエーション豊かなシリーズにまとめ上げました。


「フェリーチェマム」って、どう言う意味?
イタリア語で「幸せ」を意味します。イタリアとこのお花の関係はありませんが、このシリーズを生産するにあたり、日本古来の「仏花」や「和菊」のイメージから抜け出し「洋菊」=「Chrysanthemum」のイメージを取り入れて品種選抜したことから、横文字の似合う名称を考えました。

どこで作られているの?
最初は当園のみで試験栽培されていましたが、今では「豊明アグリ」と契約した全国の鉢花生産者が栽培し、全国の市場に出荷されています。契約した園芸農家は、1鉢につき1枚づつ「パテントラベル」をつけて出荷します。

お花のひとつひとつに、名前はあるの?

フェリーチェマムはすべて品種登録してありますので、もちろん品種名がついています。しかし長年にわたって品種を選抜し、より優れた品種へと移行してきたためにひとつひとつ品種名で管理するのが大変でしたので、生産現場では管理番号で呼んできました。味気ない気がしますが、花が咲くまでは外見で品種名を言い当てるのは非常に難しいため、たくさんある品種を混ざらないように管理する事を最優先にしました。

1)一重咲き・八重咲き・ポンポン咲き・アネモネ咲き(丁字咲き)などがあり、分枝性が良く2)摘蕾せずに仕立てる
2)植物中心の蕾を残して、それ以外を小さいうちに摘み取ってしまう事

菊の豆知識
一般的には献花としてのイメージが強い菊の花ですが、起源は古く元来、万病を避け不老長寿を保つ薬草として日本に渡来したものです。
九月九日の行事を「重陽(ちょうよう)」と言い、中国の陰陽思想における奇数は「陽」であり、おめでたいものですが、重なると逆に邪気を生じると考えられ、それを払う行事を行いました。三月三日、五月五日等もそうですが、陽数の最大の九が重なるのを特にこのように呼び、ちょうど菊花が盛りの時期で、菊を観賞しつつ詩歌を詠んだりする「菊花の宴」がさかんに行われました。
菊を浸したり花びらを浮かべたりしたお酒「菊酒」を飲んだり、前夜、菊花に色とりどりの綿をかぶせて花の露を含ませ、翌九日の朝、それで肌を撫でたりした。これを「菊の着せ綿」といったそうです。


置き場所

<開花中の鉢>
秋頃から出荷され、お花屋さん等の店頭にならびます。購入した鉢は、戸外なら強い西日は避け、日あたりの良い場所へ。室内なら日当たりの良い窓辺に置いて下さい。
<開花後>
鉢のまま日当たりの良い場所で管理していると、晩秋になって出てくる芽が極端に短く太くなりますこれを冬至芽と呼び、すると次第に株がこんもり丸くなってきます。これをロゼット化と言い、株が冬越しをする態勢になった事をしめします。この冬至芽は冬の低温に遭遇してから春に再び芽を伸ばし始めます。過保護に暖かい環境におかないほうが春の芽吹きがよく、軒下などの霜よけ程度で十分です。
また、 春〜秋のうちに花壇に地植えして宿根草として栽培する事も出来ます。室内で管理する場合は、一度低温に遭わせてロゼット化させてから室内のなるべく温度の低いところで管理するか、冬至芽を作らなかった場合はそのまま日当たりのよい窓辺で管理して下さい。
<春〜>
戸外で越冬したものは、そのまま春に芽が吹き始めますので、風などで芽が折れることの無いように注意して下さい。室内で育てたものは、早くから芽が伸び始めている株を戸外に出す場合は、霜や冷害にあわない様に注意してください。
室内・戸外共に言えることですが、キクは3)短日植物ですから、外灯・室内灯が夜間点灯している状態では花芽が出来ません。(開花中のものはそのまま咲きます)特に夏以降は夜間、光の当たらない所で育てるようにしてください。
秋口に市販されている株は4)短日処理がされて開花を早めている場合が多く、翌年の自然開花時期は10月上旬〜11月上旬になります。

3)1日の昼間の長さが12〜13時間以下になると花を咲かせる植物。
4)植物にあたる日照時間を人工的に調節して日長を短くすること。
 例)夕方6:00から温室内を暗幕で暗くし、翌朝7:00に明るくする


肥料


5)緩効性肥料や液体肥料を定期的に与えます。 成育中は肥料切れを起こさないように週1回程度、液体肥料を与えると良いでしょう。6)底面給水鉢はお皿の中に規定濃度よりも薄い濃度の液体肥料を入れておく方法もあります。植替え2・3週間後やせん定後は緩効・持続性肥料を適量与えますが、冬至芽になってからは特に必要ありません。春になって芽が動き始めたら、与え始めます。

5)肥料の効き方が、ゆるやかで長期間持続性のあるもの。
6)鉢底から給水用のひもが出ており、受け皿の水を「給水ひも」から植物に与える鉢。

水やり


<水やりで失敗しないためには>
*春〜秋は鉢の表面が乾いてやや萎れ始めたら、鉢底から水が滲みだすくらいたっぷりと与えます。
*底面給水鉢に植えてある植物は、栽培中も「給水ひも」から水をもらって育っていますから同様にお皿に水をためるだけで良いのですが、底面給水鉢でない植物は、基本的に受け皿には季節を問わず水ためないでください
*冬の水やりは、夜間に鉢の中の水分が凍らないよう、天気の良い午前中にたっぷりと与えるようにしてください。
*底面給水鉢の場合、冬期戸外では鉢内の水分が凍ってしまうため、給水用のお皿や鉢カバーを外し通常の水やりに戻して、やや乾燥気味に管理してください。
*鉢にお水をあげるという事は、鉢土内の古い空気と水と老廃物を押し出し、新しい物と入れ替える役割もかねていますので、少量を何度も与えるのではなく、乾いてきたらたっぷりと与えるようにします。

植え替え・せん定


<時期>
植え替えは地域にもよりますが、春から9月下旬までにすませ、霜が降りる前には十分に根が張るようにしてください。
<せん定>
春に伸びあがった芽は20〜30cmくらい伸びたところで、一度先端を切り落として側枝を出させて下さい。切り取った芽は挿し木にもつかえます。
切花として鑑賞する場合は、6月下旬までに伸び具合に合せて1度切りそろえる様にすると、秋には丁度切花として使えるくらいの長さになります。あまり遅いと花芽を切ってしまう事になりますので、8月中には済ませましょう。開花後は、咲いた茎の半分くらいのところで切り戻し、余分な養分を消費しないようにして冬を越す養分を蓄えさせます。
冬期は、寒さで地上部が枯れたら枯れた茎だけを切除します。
<植え替え>
根詰まりをおこしている株は、一回り大き目の鉢に植え替えるか、地植えにします

1.株元に手のひらを差込み、株を傷めないように鉢を傾けて、そっと鉢のほうを引っ張り、ぬきます。
2.7)根鉢を軽く崩し古土を少し落として、市販の培養土か、赤玉土・腐葉土・植え替えます。深植えし過ぎないように古い根鉢の表面に軽く土がのる程度にしてください。キクはランナーと呼ばれる地下茎で繁殖しますので、株が増えて込み合っている場合には、切り離したり土を振るい落として、手で株分けする事も可能です。
3.底面給水鉢は給水ひもが付いているので、いったん「ひも」は取り除き植え替える鉢の形状に合わせて、前もって鉢底に通しておくか、通常の水やりの方法に戻すかにします。いずれにしても、植え替えて3回くらいの水やりは、土と根が落ち着く前なので、上からにします。しばらくは、土の乾き具合も今までと違ってきますから、必ず乾きを確認してから行ってください。
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7)根がまわって、鉢の形状にぬけた用土


病害虫


病気
<うどんこ病>
春先から初夏にかけて葉に白い粉状の斑点が付きじょじょに広がっていく。
市販の殺菌剤で治療できます。
<白さび病>
春ごろから葉に白〜黄褐色の斑点が出始め、葉の裏側を見ると斑点が浮き上がったさびの様に見えます。放っておくと広がっていくので市販の殺菌剤で治療します。また、菌の繁殖適温があり、真夏になると症状が止まりますが、冷夏ではそのまま広がる場合がありますので、油断しないように。
害虫
<アブラムシ>
暖かくなる時期に多く発生しますので、注意して早めに手で取り除くか、市販の殺虫剤が効果があります。
<ダニ>
葉の新芽がしわ状になり、通常の葉の形と違う・色が悪くなった・花が萎縮して小さくなったり帯状の模様が入る、クモの巣のような物が新芽のまわりに張られ、小さい虫が集まっている、このような症状はダニの可能性が考えられます。肉眼で確認できない小さいダニもいますので、市販のダニ剤を使用して駆除します。ダニは水に弱いので、定期的に葉にじょうろかシャワーで葉水をかけてやると、大量に発生するのを予防する効果があります。
<ヨトウムシ・アオムシ>
暖かくなると、蝶や蛾が卵をうみつけていく場合があります。葉や新芽を主に食害する他、蕾の中に潜り込む事があり、そうなると薬品では駆除しにくくなります。食害するのですぐに判りますが、ヨトウムシの場合夜行性なので昼間は株元の土の中に隠れています。
暗くなったら活動をはじめますので、見つけて捕殺するのが効果的です。殺虫剤は早期発見してムシが小さい場合は効果的ですが、大きくなると効きにくくなります。
<キクスイ>
カミキリムシの幼虫が茎の中に入り込んで食い荒らす被害をおこします。施設内で栽培されている鉢花にはあまり見かけたことはありませんが、露地で栽培しているとしばしば被害にあうことがあります。茎が途中から枯れてしまったり、折れてしまった茎の中を調べて虫が通ったあとが見つかったら幼虫を探して捕殺するか、被害のひどい所は切り取って処分します。
浸透性の殺虫剤を使用しますが、中に入り込んでいるため効果はあまり期待できません


増殖

フェリーチェマムは全て営利目的での増殖は禁止されていますが、趣味として楽しむのは簡単ですのでお試し下さい。
市販の培養土か赤玉土・腐葉土・鹿沼土等を混ぜたものをポットにつめ、春に冬至芽から伸びた茎の先端5cmくらいを切って挿します。風の当たらない日陰で、時々霧吹きをかけて乾き過ぎないようにすると、2週間くらいで根が出てきます。そのまま管理してポットに根が回ったら、ひとまわり大きい鉢に植え替えます。
市場に出回っている鉢花のキクはその多くが、矮化剤を使用してコンパクトに仕立てている事が多いため、翌年栽培すると以前より大きくなる事があります。


栽培品種一覧
*栽培品種は年々変わってきておりますので、現在は栽培していない品種も多数御座います。


様々な系統や花形が選抜されてバリエーション豊かなところが、フェリーチェマムの最大の魅力ですが、キクは通常、蕾の状態で出荷されるので、その花色や花形が分りにくくなります。
そのため、花の形の特徴をもとに、「風車咲き」「丁字咲き」「バイカラー咲き」「変わり咲き」の4つに大別してラベルを作り出荷しています。
ここでは、2003年から現在まで栽培してきた最新品種を、その種類ごとに掲載し解説しています。
注) 花の色については、撮影した時期により大きく違いのある品種があります。これは昼夜の温度差がキクの花の発色に大きく 影響してしるせいで、一番綺麗だと思われる10月上旬頃に撮影された写真を主に使用しています。

*当園で栽培しているフェーリーチェマムは、全て種苗会社から購入したパテント品種です。 ここでご掲載する品種名の代わりに付いている「管理番号」や品種名につきましては、種苗会社から配給のあった際の表記名をそのまま使用しました。個々の登録品種名につきましては、「豊明アグリ」または「精興園」へお問い合わせ下さい。

*これらの名称を参考にしたり、引用する事について当園は一切の制約はいたしておりませんが、種苗会社の権利を侵害する事のないよう、引用にあたっては全て個人の責任においてご使用ください。ついては、それによってなんらかの不利益等が発生した場合も当園は一切の責任をお受けいたしませんのでご了承ください。
風車咲き(スプーン咲き)一重咲きに似ていますが、花が筒状弁で先端がスプーン形に広がっているのが特徴。スプーン状の部分が大きい品種や、筒状の部分が長い「管咲き 」、花色がバイカラーになっている品種等、多種多様。
     
90-7201   94-8540   94-8559   96-8524
     
97-8001   98-8531   98-8534   99-8501
     
99-8514   99-8518   99-8525   99-8549
     
00-8513   00-8519   00-8542   00-8544
     
00-8546   00-8553   99-8045   00-8054
     
00-8557      

丁字咲き(アネモネ咲き)その名の通り、咲き進むと中心にドーム形の花盤が現れ、周囲に平らかスプーン形の花弁が取り囲むのが特徴。全体的に花の鑑賞期間が長く、花持ちが良い。
     
95-5066   97-8554   98-8550   98-8570
     
98-8571   98-8572   99-8545   アルガス(輸入品種)
     
キャッシー(輸入品種)   ナスグレイブ
(輸入品種)
  パルクス(輸入品種)   98-8555
01-8068 01-8090 010-6766 010-6767
       
       

バイカラー咲き(覆輪咲き)とも言い、花弁の外側と内側の色のコントラストが美しい品種。開花時期によって、もっとも花色の変化が出やすく、そこがまた楽しみのひとつ。
     
00-8565   96-8548   97-8006   98-8502
     
98-8507   98-8510   98-8514   98-8519
     
98-8522   99-8509   99-8530   99-8532
     
01-8069      

ポンポン咲き・ピンポン咲きと呼ばれ、咲き進むと花がまん丸くなる所が可愛らしい品種。花持ちも良い。
     
00-8566   00-8568   99-8557   99-8558
     
99-8556   000-4604   002-8033   ピンポンオレンジ

小鉢用(4号鉢以下)に仕立てやすい品種を厳選。小鉢作りでの可愛らしさを追求したため、大鉢作りには向かない。
     
99-8519   99-8501   98-8581   98-8585
           
98-8587            

グリーン花、変わり咲き、その他、フェリーチェマムのシリーズに組まれているキクを紹介しています
     

セイナイト(グリーン花)
精興園のオリジナル品種。切花としても人気

  00-8570   00-8571   00-8572
00-8573 020-8076 98-8539 98-8542
98-8563 98-8564 星の子ゴールド 星の子ピンク

 
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